第4日 5月31日(水) 明け方までかなり激しい雨、夜明けとともに晴れてくる。

午前:麗江を発ちバスで中甸へ向かう。途中、石鼓鎮という町を訪れる。鼓形の古い石碑があるのが町の名の謂れである。またここは、長江(揚子江)の上流である金沙江が東南から北東へ135度V字形に流れの方向を変え「長江第一湾」と呼ばれる名所で、古来より交通の要所として栄えた町でもある。
午後:金沙江に沿って下り虎跳峡へ。ここは金沙江が、玉龍雪山と哈巴雪山に挟まれて高低差なんと2700mの深い谷になっている(谷底の標高1800m)。駐車場から500段の急な階段を谷底まで降りると、川幅は最も狭いところでわずか30mになり、茶色く濁った激流が迸る。虎がこの峡谷を飛び越えたという伝説が名前の由来で、虎跳岩という岩が激流の中に顔を出している。
見学後引き続き中旬へ向けて走る。だんだんと高度を上げ、景色も峡谷から高原へと変わっていく。道の両側には小さな紫の花をつけたツツジの大群落の中にチベット族の民家が現れ、ヤクや馬が放牧されている。夕方、標高3276mの迪慶チベット族自治州の州都である中甸に到着する。
ホテルに着いた頃から気持ちが悪くなり、食事が喉を通らなくなった。空気が薄い気はあまりしないが、高度の影響であろう。今回のツアーでは中甸から医師が同行することになっていた。その医師に診てもらい、薬を飲み、空気枕に入った酸素を吸いながら床につく。連夜の睡眠不足が災いしたようである。碧塔大酒店泊。

長江第一湾
長江第一湾、左奥から右奥へと流れる
石鼓
鼓の形をした石碑
ツツジの大群落
中甸の手前、チベット族の民家とツツジの大群落
虎跳峡
虎跳峡、中央の岩が虎跳岩
虎跳峡
虎跳峡、激流の音が物凄い

 

第5日 6月1日(木) 曇り

午前:中甸からバスにて雲南省北端の町・徳欽へ。中甸から先の道路は完全未舗装である。昼前に再び金沙江のさらに上流を渡る。奔子瀾という町で昼食となるが吐気がしてとても食べる気がしない。
午後:チベット仏教の有名な寺院・東竹林寺の見学があったがバスを降りることができなかった。その後バスはどんどん高度を上げ、ついに白茫(白馬)雪山の4300m近い峠を越える。くもっていて山々の展望はよくない。峠を越えてしばらく行くと、雲南省の最高峰である梅里雪山(6740m)が見えてくる。頂上付近は雲の中だが、5500mから2700m付近まで急傾斜で落ちる明永氷河ははっきりと見えた。チョルテンという仏塔がある展望台の付近はツツジの花が満開でさながら桃源郷のようであった。夕方徳欽に着く。標高3300m、谷のどんづまりの町で、平地がなく道路はすべて坂になっている。舗装工事のためか町中の道路を掘り返していた。中国の工事は出来上がるのも早いが壊れるのも早いそうである。だから1年中工事をしている。
太子峰酒店。夕食をぬいて病院で点滴を受けた。中国の病院は初めてだ。中国では点滴の針を手の甲に射す。中国4000年の医学とチベット族と思われる看護婦を信じて身を任せた。点滴をして薬までもらってたったの24元(約330円)だったのには驚いた。

4300mの峠
白茫雪山の4300mの峠、雪が残っている
徳欽
徳欽の町

第6日 6月2日(金) 晴れ

午前:徳欽の近くには瀾滄江(メコン川)が流れている。その大峡谷を眺めるためにバスで月亮湾と呼ばれる場所へ向かうが、途中急な沢の土砂が崩れて道路が埋まっている箇所があり復旧まで1時間余り待たされた。中国ではよくあることである。復旧後しばらく走ってただの道端でバスが止まるとそこが月亮湾の展望台であった。はるか眼下を瀾滄江が曲がりくねりながら流れている。いずれはベトナムで南シナ海にそそぐことになる。我を忘れて雄大な景色に見とれてしまった。
午後:チベット仏教の小さなお寺である飛来寺を拝観する。まずはマニ車を回しながら壁に沿って寺の建物を一周する。中ではヤクの乳で作ったロウソクに火をつけ旅の無事を祈った。その後、瀾滄江の谷を隔てて梅里雪山と対峙する展望台のある風景区を訪れた。1991年梅里雪山の主峰を目指した京都大学学士山岳会を中心とする日中合同登山隊が雪崩に会い遭難した。ここにはその慰霊碑があり、犠牲となった17人の名が刻まれている。一昨年氷河上で遺体が発見されたというニュースを覚えている人もいるだろう。この山も未踏峰である。碑の周りには花が咲き、経典の書かれたタルチョという多数の布がたなびいている。この日も梅里雪山の頂上は姿を現さなかった。

土砂崩れ
土砂崩れの現場
月亮湾
月亮湾、はるか下を瀾滄江が流れる
飛来寺
飛来寺の全景
飛来寺
マニ車を回してお寺を一周する
梅里雪山
梅里雪山、中央は明永氷河
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慰霊碑
日中合同登山隊の慰霊碑
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