集安 −高句麗の都城と古墳群ー
集安は、吉林省南部に位置し、鴨緑江をはさんで北朝鮮と接する国境の町。3世紀から約200年の間高句麗の都が置かれ、政治、文化の中心地であった。高句麗は、紀元前1世紀から7世紀にかけて、現在の中国東北地方から朝鮮半島北部にかけて栄えた王国で、新羅、百済とともに三国時代を形成した。集安には、高句麗時代の城址や多数の古墳が残り、これらは2004年に北朝鮮側の遺跡と同時に世界遺産に新しく登録された。
●丸都山城…三方を山に囲まれた典型的な山城。城壁の長さは約7km。戦時の際は臨時の都となった。
●国内城…平地に築かれた王の居城。周囲2.7kmの長方形。集安市街にあり、城壁のみが残っている。
●古墳群…王族や貴族が埋葬された古墳が点在し、その数は1万を超える。内部の石室に壁画が描かれたものもあり、絵柄は日本の高松塚古墳やキトラ古墳との共通性が指摘されていて、当時の日本と高句麗との関係をうかがわせる。外気にさらすことのできない壁画は、古墳隣の建物内の展示室にてビデオカメラのモニタ画面を通して見ることができる。
●将軍塚…好太王の子長寿王の墓と言われる。花崗岩を7層に積み上げ、高さは13mで東洋のピラミッドと形容されている。
●好太王碑…好太王(広開土王)の功績を称えるため、息子の長寿王が建てた石碑。高さ6.39mの石柱の4面に彼の業績が刻み込まれている。日本人にも有名で、碑文中には当時の日本(倭国)に関する記述が見られる。
●鴨緑江…長白山に源を発し黄海に注ぐ。北朝鮮との国境をなす。集安では遊覧船が出て、対岸の北朝鮮を間近に眺めることができる。
<丸都山城> 南面城壁の瓮城跡。ほとんど崩れている。 |
<丸都山城> 瞭望台と呼ばれる見張り台の跡。 |
<山城下貴族墓区> 丸都山城の下にある古墳群。 |
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<国内城> 町なかに残る城壁の石垣。 |
<洞溝古墓群の禹山墓区> 五かい墳の5号墓。藁でおおわれている。 |
<洞溝古墓群の禹山墓区> 四神墓。石室の4面に、青龍、白虎、朱雀、玄武の壁画が残る。 |
<将軍塚> 巨大な岩を立て掛けて墓が崩れるのを防いでいる。上部に石室の入口が見える。 |
<将軍塚> 将軍塚の隣にある側墳。将軍塚の埋葬者の妃の墓と言われている。 |
<好太王碑> ガラスで囲われてしまい、文字を読み取るのはむずかしい。 |
<太王陵> 好太王碑の西にあり、好太王の墓と言われる。かなり崩れてしまっている。 |
<鴨緑江> 右側が北朝鮮、左側が中国。 |
<鴨緑江> 遊覧船から見る北朝鮮の村落。 |
<鴨緑江> 船は北朝鮮側の岸辺まで近寄り、畑で仕事をする人や船を追いかける子供たちまでよく見えた。 |