コルラ、クチャ、タクラマカン砂漠

●コルラ（庫尓勒）

6月19日（金）　コルラ→クチャ

コルラ（庫尓勒）は、新疆ウイグル自治区のバインゴル・モンゴル自治州の州都。古くからシルクロードのオアシス都市として栄えたが、近年のタリム油田の開発により近代化が進んでいる。午前は、コルラの北にある昔のシルクロードが通っていた関所跡の鉄門関を見学した。
４世紀に築かれた鉄門関は、孔雀河（コンチェ河）の上流の峡谷に位置する交通の要衝で、守りが非常に堅固であったことから鉄門関と呼ばれるようになった。孔雀河は、天山山脈に源を発し、「さまよえる湖」として有名なロプノールへと流れ込んでいる。
昼食後、天山南路（現在の国道314号線）を280km西へ、緑の多かった北疆とは異なるゴビ灘（石混じりの土漠）の中をクチャへと走った。庫車（クチャ）飯館泊。

鉄門関の関楼向こう側に「絲綢古道」の碑がある。	鉄門関の横を流れる孔雀河
コルラ市内を流れる孔雀河	トルファン～カシュガル間を結ぶ南疆鉄道の列車砂塵で空が霞んでいる。

●クチャ（庫車）

6月20日（土）　クチャ

クチャ（庫車）滞在。キジル千仏洞、塩水渓谷、クズルガハ烽火台、クズルガハ千仏洞を観光した。
クチャは、天山山脈南麓にあり、前漢時代から10世紀頃まで亀茲国として栄えた土地である。４世紀に仏典を漢訳した鳩摩羅什の出身地でもあり、郊外には仏教遺跡が点在している。
キジル千仏洞は、クチャの西75kmの渭干河の北岸40mの断崖にある。後漢から宋代にかけて掘られた石窟の数は236、比較的保存状態が良く華麗な壁画が残っている石窟もある。五弦琵琶を奏でる飛天画のある第８窟、音楽堂と呼ばれ伎楽天画のある第38窟の他、10、17、27、32、34窟を見学した。ちなみに「キジル」とは「赤い」の意、対面の山の色が確かに赤い。
塩水渓谷の川沿いの道は、玄奘（三蔵法師）も通ったとされる昔のシルクロードである。川には水はほとんどなく、川床に結晶した塩が白く残っている。周辺のヤルダン地形とともに独特の景観をなしている。
クズルガハ烽火台は、高さ約13mの前漢時代の烽火台跡。クズルガハ烽火台の先にあるクズルガハ千仏洞は、漢代から唐代にかけて開削された。壁画が残っている石窟もあるが、いずれも損傷が激しい。第11、14、16、27、28、30、32窟を見学した。

キジル千仏洞西区の全景
キジル千仏洞からポプラ並木越しに渭干河と赤い山を望む。右下に小さく見えるのが鳩摩羅什の像。
キジル千仏洞と鳩摩羅什の像	塩水渓谷
塩水渓谷付近の地形。激しい地殻変動の跡がよく分かる。	ヤルダン地形（雅丹地貌）風化によるピラミッド（金字塔）状の地形が広がっている。
クズルガハ烽火台	クズルガハ千仏洞

●タクラマカン砂漠

6月21日（日）　クチャ→タクラマカン砂漠→ニヤ

いよいよタクラマカン砂漠縦断へ。朝、クチャからコルラの方に約100kmほど戻り、輪南油田を右折すると「塔里木（タリム）砂漠公路」の北ゲートがある。ここからニヤ近くの南ゲートまで561kmを、途中昼食や休憩をとりながら10時間かけてバスはひたすら走った。
タクラマカン砂漠は、天山山脈と崑崙山脈にはさまれたタリム盆地に広がり、東西1000km、南北400kmで世界２位の面積をもつ大砂漠。ウイグル語で「入ったら二度と生きて戻れない砂漠」という意味がある。
ゲートからしばらく行くと胡楊の林の中を走るようになる。この辺りは2006年にタリム胡楊林自然保護区に指定された。ここから20分ほどのタリム鎮で昼食をとり、その後すぐにタリム河に架かるタリム大橋を渡った。
タリム河は、崑崙山脈やパミール高原に源を発したいくつかの河を合流し、タクラマカン砂漠の北辺を西から東に流れ、孔雀河と同じくロプノールへと注ぐ。
さらに１時間くらいは砂の原の中に潅木がちらほら見えていたが、やがて幾重にも連なる砂丘が現れ、タクラマカン砂漠の中心部に入ったことが分かった。
1995年に開通した砂漠公路は、当初油田開発のためにつくられたが、1997年に一般に開放された。道路が砂で埋まらないように当初道路の両側に芦の柵が設けられた。その後2003年から１年半かけて、砂漠部分の466kmにわたって道路の両脇数十メートルに植樹を行うと同時に、約４kmおきに全部で108のポンプ室を建設し、そこで地下水を汲み上げパイプで水を送って潅水する設備をつくる工事を行った。ポンプ室には夫婦などが住み込み、給水設備や道路の監視、管理を行っている。
途中天然ガスのパイプの故障修理のために砂漠のど真ん中で40分ほど足止めをくらった。ニヤのホテルに着いたのは21時を過ぎていた。この日の全走行距離780km。尼雅（ニヤ）公寓泊。

天山南路では天山山脈を北に見る。（9:46）
タマリクス（紅柳）の群落（10:26）針状の葉をもち、全体を覆うように淡紅色の小さな花を咲かせる。ラクダ草とともに乾燥した土地でよく見かけた。（写真）	砂漠公路北ゲート（10:53）
タリム胡楊林自然保護区（11:45）	タリム河（13:20）乾燥地帯に生育する胡楊は、「胡楊三千年」（生きて千年、枯れて千年、倒れて千年）と言われる。写真右側の木は、樹齢1600年の大木。タリム大橋を通過、河床が露わになり、水はほとんど涸れていた。
タクラマカン砂漠（14:28）	ポンプ室（中国語で「水井房」という）（15:04）
タクラマカン砂漠（15:06）	タクラマカン砂漠（15:10）
砂漠公路（15:07）、道路の両脇にグリーンベルトが連なる。
あちこちで小さな竜巻が発生し、砂塵を空に巻き上げていた。（16:48）	タクラマカン砂漠（18:31）
砂漠公路（18:44）高い砂丘が連なりけっこうアップダウンがあった。	砂漠公路南ゲート（20:41）、ここからニヤまで21km。

戻る次へ中国シルクロードTOP