スロベニアとクロアチアが旧ユーゴスラビアからの分離独立を宣言したのはちょうど10年前。その後真の独立を勝ち取るまでに多くの犠牲が払われた。そして悲劇から立ち直った両国は観光に力を入れ始めている。新しい世紀初めての旅は、世界遺産に登録された珠玉の街々と美しい自然を訪ね歩く旅となった。

 今回訪れた世界遺産
  ・プリトビツェ湖群国立公園
  ・トロギール歴史地区
  ・スプリット史跡群
  ・ドゥブロヴニク旧市街

詳細地図

第1日 6月27日(水)
夜10時スロベニアの首都リュブリャーナのブルニク空港に降り立つ。乗り換えたフランクフルトではまだ明るかったのにさすがに暗くなっている。レブ・インターコンチネンタル泊。


第2日 6月28日(木)
午前リュブリャーナ市内観光。まずはコングレスニ広場からリュブリャニツァ川に沿ってプレシェーレン広場へと歩く。ここには三本橋という名の橋がかかっている。真中が車道で両端が歩行者用だ。リュブリャーナは長くハプスブルグ家の支配下にあり、バロックやルネッサンス様式の建物が多い。アールヌーヴォー様式を取り入れた建物も目立つ。なかでもユニークなのは地元の建築家プレチニクが設計した芸術的な建造物(橋や建物、公園等)である。人口30万人にも満たない小ぢんまりとした町だがあちこちに芸術の香りが漂っている。街を見下ろす丘に建つリュブリャーナ城からは遠くユリアン・アルプスの山々が望めるそうだが、この日は霞んで見えなかった。
午後はバスで北上し、ユリアン・アルプスに抱かれ"アルプスの瞳"と称されるブレッド湖を訪れた。ブレッド湖は一周4km、ボート競技の会場としても使用される。聖マリア教会の建つ小島へは船頭の漕ぐボートで渡る。エンジン・ボートは許されていない。また湖畔の断崖の上にあるブレッド城からはユリアン・アルプスの最高峰2864mのトリグラフが眺められた。ブレッド湖は古くからのリゾートということだが、まだシーズン前で人出は多くなかった。ホテル・アストリア泊。

三本橋トロモストウイエ。一ヶ所に三本平行に橋がかかっている

リュブリャーナ大聖堂。手前は青果市場

市庁舎前の広場。リュブリャーナ大聖堂が向こうに見える

国立大学図書館。外壁がユニーク

ブレッド城とユリアン・アルプス

ブレッド湖に浮かぶ聖マリア教会


第3日 6月29日(金)
夜明けまでの雨もあがりいよいよ紺碧のアドリア海に向けて出発だ。途中世界で3番目の大きさをもつといわれるポストイナ鍾乳洞に寄る。まずは洞窟の入口から2kmほどトロッコ列車で走り、下車後ガイドの案内で回る。残念ながら日本語ガイドはいない。洞内では類人魚と呼ばれる肌色をした盲目の両生類が見られる。絵葉書が売れなくなるというせいか写真撮影は禁止されている。
クロアチアへと国境を越える。ちゃんとしたゲートはあったがパスポート・チェックはなかった。道がアドリア海へと下りきったところがオパティア。昼食後はクロアチア第3の都市リエカのトルサト城址から海に向かって開かれた港町を一望する。バスはしばらく海岸線を走り、センイという町から内陸へと入って行く。街道沿いには、半ば壊れた民家、崩れ落ちた教会、外壁に銃痕の残る建物が次々と現れ、未だに消えない戦争の傷跡に心が痛む。森の中のプリトビツェに付いたのは19時を回っていた。ホテル・イェゼロ泊。

ポストイナ鍾乳洞のアイスクリームのような鍾乳石

人肌をした盲目の両生類・類人魚


第4日 6月30日(土)
プリトビツェ湖群国立公園は1979年にユネスコの世界遺産に登録された。大小16のエメラルド・グリーンに輝く湖とそれらをつなぐ92の滝からなる。その特異な地形は、中国の九寨溝と同様に形成されたものだが、規模的にはこちらの方がコンパクトにまとまっており、園内もエコカーや遊歩道、休憩所など整備されている。ハイライトの下湖(Lower Lakes)と呼ばれる渓谷を上流に向かって歩く。次々と湖と滝が現れ、最後は一番大きな湖をボートで渡る。
午後は内陸部の平原をバスでひた走る。耕地はぽつんほつんとある家の周囲だけであとは荒地である。この辺りは先の戦争時にはセルビア人に支配された地域である。なぜか町中でも人影をほとんど見かけない。この地方の中心クニンという町を通り、シーベニクでアドリア海と再会する。夕方海に浮かぶ世界遺産の町トロギールを小観光し、クロアチア第2の都市スプリットに到着。郊外のホテル・スプリット泊。

プリトビチェ湖群国立公園

プリトビチェ湖群国立公園

プリトビチェ湖群国立公園

プリトビチェ湖群国立公園


第5日 7月1日(日)
スプリットの旧市街も世界遺産である。ローマ皇帝ディオクレティアヌスが退位後に移り住んだ宮殿などが残っている。しかし、人々がこれらの遺跡を住居としその中で生活していることには驚いた。大聖堂の鐘楼に登ると海ツバメが飛び交い潮風が心地よい。
午後はホテルの下のビーチで海水浴。アドリア海をはさんだイタリア側は海岸線が単調で砂浜が多い。ダルマチア地方と呼ばれるクロアチアの海岸は、複雑に入り組み大小の島が連なる多島海である。砂浜は少なく岩や小石の浜が続く。日曜日なので海水浴客が多い。暑いが乾燥しているので汗はそれほどかかない。夜になると強い北風が吹く。ホテル・スプリット泊。

ハーバーから。右は宮殿の正門

ディオクレティアヌス宮殿

宮殿内にある大聖堂

大聖堂の鐘楼からのスプリット旧市街


次へ 次へ

トップへ トップに戻る